今まで10年以上、カトラリー業界に携わってきました。
カトラリーという呼び方すら知らなかった頃から、今までの歴史を振り返ってみました。
■1年目~
最初の3年間は、カトラリー専属では無く「キッチン用品の担当」として関わり方でした。
当時は新発想の調理道具やカラフルなツールが流行していました。
無水鍋や圧力鍋、シリコン製のカラフルなオタマなど。
そういった背景もあって、正直地味な(ごめんなさい)カトラリーの優先順位は高くはありませんでした。
そんな自分が段々とカトラリーにのめり込んだキッカケは「メーカーさんの人柄」にありました。
年に1回開催していた展示会で、メーカーの人と直接話しができました。
ラッキーウッドの社長と話した事が、その後の自分の立ち位置を変えました。
当時は知識がほとんど無かった自分に社長は丁寧に、そして熱心に話してくれました。
一見すると同じように見える(当時は見えてた・・・)形にも、1つ1つ理由がありました。
・持ちやすく口に運びやすいバランス
・最も美味しさが味わえる量がすくえるサイズ
・余韻が残るタイプや、抜けが良いタイプ
こんなにもこだわりがあるのか、と驚きました。
ただし、自分がカトラリーの魅力に惹きつけられたのは「商品の機能性」よりも「ものづくりへのひたむきさ」でした。
機能性の裏側にある「いいものを作って喜ばせたい」という思いを感じました。
スプーンのすくえる量を決める為に、いくつも試作品を作って試行錯誤を重ねたはずです。
カトラリーに興味を持ち始めた若造に、熱心に話してくれる姿に「本当に好きなんだな」と思わされました。
展示会の後、記憶が鮮明な内にカフェに駆け込み、忘れないうちにメモに残したのを覚えています。
当時の自分はかなり興奮していました。
■3年目~
毎年の展示会でちょっとずつ知識をつけていった自分。
その後、新潟県燕市へメーカー訪問をさせて頂きました。
展示会で話したラッキーウッドさんの他、サクライさん、ヤマコさん等のショールームや工場を訪問しました。
サクライさんでは、金ブラシで擦っても傷づかない超硬度のカトラリーを見て驚きました。
ヤマコさんは、ノーベル賞の晩餐会のカトラリー制作の話や、上品なカトラリーやユニークなカトラリーに魅了されました。
■8年目~
しばらくのブランクの後、カトラリーへの関わりの通算8年目の頃。
気持ちも新たに、新潟県燕市でカトラリー検定を受検。ありがたいことに100点満点で合格しました。
同時期に開催された「工場の祭典」にも参加し、より一層カトラリーの世界にハマっていくのでした。
その後まもなくで、カトラリーショップzen-tableをオープンさせる事ができました。
以上です。
そういえば、カトラリーで一番味の違いを感じたのは、銀のスプーン(※)でアイスクリームを食べた時でした。
これは関わりの1年目~3年目の頃だったと思います。
何でもそうかもしれませんが、最初のインパクトは強烈で鮮明に覚えています。
ぜひみなさんも体験してみてください。
※正確には銀のコーティングがされた「洋白銀器」のスプーンでした。